話題泥棒にならない話し方

今回は、会話とジブン病について考えてみたいと思います。

 よく「人の話を取ってしまう」人がいますよね。たとえば「先週BBQに行ったんだー」と話されると、「あ、私も行った」とか「BBQ、最近行ってないなあ」と自分の話にしてしまう。話しかけた方としてはもっといろいろ自分のエピソードを話したかったのに、と不満が残ります。

 あるいはこういうことはないでしょうか。

 会議などで人の話を聞きながらも、頭の中では他のことを考えている。「この人の話が終わったら、あの意見を言おう!」「あ、あの話もしたい」などと、次に自分が話すことをワクワクと考えていて、ろくに話は耳に入らない。で、途切れるのを待っていたかのように「私、思うんですけど~」と話し出してしまう(脈絡なく)。自分ではやってなくても、そういう人って周りにいますよね。

 「聞き上手」は誰しもが目指すところですが、きちんと相手の話を聞く上でも、いちばんの敵は「ジブン」です。

 たいていの人は相手の話を聞きながらも、頭の中の6~7割(下手したら9割以上)は、ジブンのことで埋まっています。「あれも言いたい」「これも言いたい」「忘れないうちにあの話もしたい」「そういえばお腹空いた」「今日はいい天気だな」などなど。これでは会話の内容も頭に入ってきませんし、上の空な空気は相手に伝わります。

 僕が定期的に開催している話し方セミナーでは「最初はもう、相手の話をそのまま覚えてください」とアドバイスしています。実際に、相手の話をメモにとって暗記する特訓をしてもらったり。なぜなら、それぐらいしないと、人は頭の中のジブンを抑えきれないからです。

 冒頭の「先週BBQに行ったんだー」の例で言えば、BBQについてジブンがどう思うかは二の次。相手がそのBBQをどう楽しんだかに集中してきちんと相づちを打つことが大事です。

 毎回でなくてもかまいません。一旦話を聞くと決めたら、ジブンのスイッチを完全にオフ。相手に共感することに専念しましょう。僕たちプロでもなかなか難しい技術ですが、ぜひトライしてみてください。

■連載 シティリビング・ウェブ
五百田 達成のジブン病につけるクスリ
http://city.living.jp/tokyo/career/iota-t
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