月別アーカイブ: 2013年5月

「でも」「けれど」「逆に」を使わない

 メールの文章や日々の会話において、これさえ使わなければ人間関係のギスギスが大幅に減ることばがあります。それが「逆接語」。
 
 「でも」「けれど」「逆に」「っていうか」・・・ 自分が話し出すときに、なんの気なしにこうしたフレーズから文章・会話を始める人は少なくありません。これが要注意。
 
 人には「承認欲求」というものがあり、自分の話や意見を認めてもらいたくてしかたありません。「そうだね」「確かに」などと受け止められると、それだけでうれしいのです。いっぽう「でも」「けれど」など逆接語から話し出されると、まるで意見を否定されているような気持ちに。目に見えないきしみが生まれるのです。
 
 本当に反対の内容を言う場面(議論やディベートなど)ならいざ知らず、安易に「っていうかさあ」などと話を始めないように心がけたいものです。本人にその気はなくても、文句をつけているようで印象がよくありません。
 
 代わって最近増えているのは「それで言うと、」と、相手の話を引き取る言い回し。よく聞くと関連しているようで関連してないことも多いのですが、それはご愛敬。話し出し方としてはとてもポジティブです。
 
 さらにいえば「請求書の件ですが、あれどうなってますか?」「いま進んでるプロジェクトなんですけど、ちょっとトラブルがあって」など、会話や文のリズムを取る息継ぎのように使ってしまう「が」「けれど」。これもできれば避けたいところ。
 
 聞いたほう・見たほうとしては「ん?」と気持ちがひっかかります(もちろん、相手の注意を喚起するためにあえて使うというテクニックもありますが、一般の人間関係においては不要でしょう)。
 
 「請求書の件、どうなってますか?」「いま進んでるプロジェクトに、ちょっとトラブルがあって」など、言い換えは可能。むしろシンプルで知的なトーンになります。
 
 「魂は細部に宿る」と言います。メール一通、会話ひとつおろそかにせず、お互いが気持ちのいい人づきあいを目指したいものですね。

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職場の居心地が悪くても我慢すべき?

【相談】:
今の会社の人間関係に疲れてしまって、転職を考えています。

といっても、勤めてまだ2年目なので、転職をするほどのスキルもないですし、自信もありません。 となると、今の職場で我慢しないとダメですよね?

実は、女性の先輩がものっすごく仕事ができなくて、男性社員に仕事を振られても「え~」と言って拒否るんです。それで私が代わりにやってるんですけど、もう耐えられません。

本当にいい加減にしてほしくて、その女性の先輩に「私ちょっと他の案件があるのでできません……」と言ったら、他の部署の男性に私のことを愚痴ってるみたいで、居心地が悪くて仕方ありません。彼女を慰める男性社員たちを見ていると、会社を辞めたくなります。

私は生意気で先輩を立てない不届きものらしいです。なので、飲み会は誘ってもらえません。誘われても行きませんが。

一度、上司に相談しようと思うのですが、「ふ~ん」みたいな感じであまりどうにかしてくれるって風でもありませんでした。

やっぱり我慢すべき? 会社勤めってこんなもんなんでしょうか?

(26歳・事務)

【回答】:

仕事のできない先輩女子社員、優しくしてくれない男性社員たち、取り合ってくれなそうな上司、かといって転職する自信もスキルもない。。。いろいろな要素が絡み合っているようですね。

正直いただいたご相談からはどこが悩みのポイントなのか、ぼんやりとしていて分かりませんでした。そこで今回は、根本的な解決をというよりも、あえていろいろな角度からの対処法をいくつか並べてみたいと思います。

【人間関係】
すべての人に好かれるのは無理と割り切りましょう。あなたはもう、その女性社員とは仲よくしないと決めたように思えます(仕事ができないというよりも、嫌いなのではないでしょうか?)。であれば、彼女と彼女の周りの社員とは距離ができざるを得ません。社内で仲良しを作るのは先輩のほうが一日の長があるのはしかたのないところ。代わりに、仲のいい社員・話のできる社員が見つかるといいですね。

【仕事】
最近、芸人・有吉弘行の言葉としてよく紹介されているのが「目の前のことをコツコツ一生懸命やりなさい。そうすればきっと誰かが見ていてくれる」というもの。まさにこれは、すべての仕事人にあてはまります。「彼女の尻ぬぐいをしない」と決めたなら、自分の仕事については妥協せず、文句を言わずきちんきちんとこなしましょう。そうすれば誰かがきっと評価してくれるはずです。

【転職活動】
少しでも「転職したいな」と思ったなら、一度、転職会社に話を聞きに行くのもオススメです。丁寧に愚痴を聞いてくれるだけでなく、今の自分には何が足りなくて、何が足りていて、他の仕事・職場はどうなのか? 自分がいま求めているのはどんな働き方なのか? が、徐々に見えてくるはずです。そのうえで「しかたない、もう少し我慢しよう」と思えたら収穫ですし「そっか、いざとなったら、転職先はありそうだな」と思えたら、自信もつきます。

【情報収集】
「下を見る」というのは健康的な方法ではありませんが、即効性はあります。世の中にはもっとひどくてもっと深刻な悩みを抱えている会社員はたくさんいます。上司、条件、転勤、異動、パワハラ・アルハラ・セクハラ・・・。

もちろん「肌の合わない女性先輩なんて軽いほう」とは言えませんが、いろんな人の話・仕事・働き方の話を見聞きしながら自分で「あれ、私ってけっこうマシなほう?」と思えたらラッキー。友達の話を聞いてみたり、異業種交流会などに顔を出して見聞を広めてみましょう。その際、愚痴を言うのではなく話を聞く、が誠実な態度です。

いかがでしょう? いずれもまっとうすぎてつまらない回答かも知れませんが、いまのあなたに必要なのは、なんでもいいので気持ちを決めること。割り切って決断すること。とりあえず行動すること。

【行動】
・超めんどくさいけど転職会社に行ってみる
・ダメ元で上司に相談してみる
・飲み会を誘ってもらえないならこっちから誘ってみる
・スキルを身につけるための勉強を始めてみる

挫折しようと、徒労に終わろうと、気休めに過ぎなかろうと、なにか行動してみれば少しずつスッキリしていくはずです(先輩からの仕事を断るだけの勇気と行動力を、ぜひポジティブなほうに向けてみてください)。

それは今回の問題のみならず、これからの人生でずっと大事になってくる知恵。そうでないと「ずーっとモヤモヤとした不満を抱えている人」として人生を終えてしまうことになります(どれだけ事態が好転しても、不満グセのついた人はいつまでも不満なのです)。

女性社員の人が私を見直してくれて、男性社員も私を飲みに誘ってくれて、上司からも一目置かれ、同僚からも尊敬されるし、転職もできるぐらい自信もつく・・・。そんな夢のようなことが起きるとしたら、それは間違いなく「周り」の対応ではなく「あなた」が変わることででしか実現しません。

同じ日常でも「小さな我慢の積み重ね」と思うか「まあまあ幸せ・そこそこ満足」と思うか。本当にそれはあなたのとらえ方次第。満足グセを早めにつけられるよう、20代後半をすごしてください。

……と、方向の定まらないとりとめのない回答になりましたが、どれかひとつでも、気持ちをラクにするのに効果があれば幸いです!

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「崖っぷち相談室」
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「悪口」はOKでも「かげ口」はNG

 先日、タレントの有吉弘行がテレビでこんなことを言っていました。
 
 「悪口はいいけど、陰口はよくない」
 
 曰く、目の前の人はどれだけけなしてもOK(冗談めかすこともできるし、それがきっかけで誤解がとけて仲よくなることもある)けれど、その人のいないところで悪口を言ってはいけない(どこでどんな尾ひれがついて本人の耳に入るか分からない)ということ。
 
 これは心理学的にもとても理にかなっている教訓で、いたく感心しました。心理学では「ウィンザー効果」というものがあって、これは「第三者から聞くとその情報の影響力が増す」というものです。
 
 たとえば人から「●●さんがあなたのことを『素晴らしい人材だ』って言ってましたよ」と聞くのは、●●さん本人から言われるよりもうれしいもの。なんといっても真実味が増しますし、照れずに受け入れることもできます。そのため、大会社の役員や経営者など、人望のある人はあえて間接的に人をほめたりするのだとか。
 
 「雑誌やクチコミで、おいしいと聞いた店は行ってみたくなる」「広告で大々的にアピールしている商品よりも、報道で高評価を得ているほうが信頼できる」これらの現象も同様に「ウィンザー効果」で説明できます。
 
 冒頭の有吉弘行のコメントは、まさにこの逆バージョン。軽い気持ちで言ったネガティブなことも、第三者を通じて本人に伝わると「ウィンザー効果」で何倍かに増幅されてしまい、取り返しがつかないことになりかねません。
 
 ツイッターなどのSNSは、下手をするとかっこうの陰口ツールになります。ネガティブなことや個人を中傷するようなことを書かないのは基本マナーです(どれだけ厳しくガードされていても、です)。
 
 どうしても誰かに陰口を言って溜飲を下げたくなったら、本当に信頼できる人、あるいは、まったく縁もゆかりもない人(たとえば仕事の話なら仕事関係ではない人)に言うようにしましょう。

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